兵庫県の森林は植生が多様です。
うっそうとした森の中を歩いていて、頭に浮かんできたイメージ。
それが「森の見える食器づくり」でした。

わたしたちは、ふだん家具をはじめ、木でできた製品に囲まれて暮らしています。
その材料として使われている木が、どのような森で育ったのかということを想像できれば、どんなに楽しいだろう。
そう考えたのです。

その森に根を生やしている木々たちが、どのような風土、気候ではぐくまれたのか。
そして、どのような人たちによって手入れされ、森が守られているのか。
想像のゴールは、その地域に根を下ろして暮らす人たちにたどり着きます。

そのような思いから、一つひとつの食器の底に、素材となった間伐材を伐採した場所の北緯・東経情報をレーザーで刻印することにしました。

日本における林業という産業は輸入材に押されて、残念ながら衰退しつつあります。
森をはぐくむための手入れによって出てくる間伐材という資源を材料に、ぬくもりが感じられる食器を作りだし、買ってもらうことによって、丹波の地に新たな仕事の場が生まれ、そこで生まれたお金がまた森を守るために使われていく——。

そんな暮らしの循環を作りたい。

そう願って、食器をデザインしています。